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会甲子園の風船の詩(うた)

 

8月下旬

既に秋を感じさせる甲子園の浜風は

ひんやりと冷たくほおに当たる

社会の喧騒を忘れ

甲子園にたたずむ

 

阪神タイガースの終焉に重なるこの季節

無次元的夜空は

自分をどこに導くのか

 

甲子園のたそがれは自分とは

何の関係もないと風船を膨らませる

何時見ても華麗だ

きらびやかでまぶしいオーラが

自分の目に飛び込む

数十年間の会社生活の記憶を

よみがえらせながら

ゆっくりと夜空に消えていく

 

膨らみ続ける疎外感・孤立感・孤独感

一方でどうしても断ち切ることができない

会社へのしがらみ

朱色に染まる甲子園の夜空を見ながら

阪神タイガースの終焉と自分の没落を重ね合わせようとする

だか、タイガースよ、自分の屍を踏み越えて復活せよ

吼える猛虎よ

もう一度自分を生き返らせてくれ

 

悲観・楽観・達観

会社生活の終末に与える決断が

わが手にかかっている

 

それこそ、甲子園の風船が導く真理であろう